突然エンジンが掛からなくなってしまいました。

車検整備にて入庫した三菱FUSOのFV50(H12年式)です。完成検査目前でエンジンが掛からなくなってしまいました。
ブレーキ周りの整備を終えた段階で、エアが必要になりエンジンを始動しコンプレッサを作動させていました。 燃料フィルターの交換を終えたタイミングです。 つまりエア抜きは出来ていた事になります。
そして最後、エンジェクターノズルとコモンレールを連結するパイプと、シリンダーヘッドをシールするパッキンを交換。 その直後からエンジンが掛からなくなってしまいました。


FV50は高圧の電子制御インジェクション仕様です。 年圧は脅威の30MPa!(300kgf/cm2)なので、インジェクタノズルへ向かうパイプを緩めるとエア抜きが必須となります。
当然エア抜きも行い、クランキングも行い、更にはフレアナットを少し緩めた状態で燃料を送り出してエア抜きを行いましたが掛かりません・・・
なぜだ・・・
燃圧が低いまま、上昇していないのか?と疑問に重いスキャンツールを繋いで確認すると「燃圧34,000KPa」と表示されリアルタイムに変化しています。 と言う事は燃圧は正しく上昇しておりエアは抜けていると判断できました。
となると、次考えられる原因は2つです。
1,インジェクタへ噴射信号が入っていない
2,信号を受信してもメカ的に動けてい
初爆も無いので、インジェクタがメカ的に6個同時に不具合に至るとは考えられません。 となると電気的に6個のインジェクターへ信号が入っていないと考えるのが自然です。
その考えから噴射信号がECUから出力されているのかをスキャンツールで確認しました。 すると・・・
「43g/1st」と6気筒分出ています・・・
ますます分からなくなりました。 インジェクタへの配線は、断線orショートがあればコンピュータ診断機に表示されます。 がどちらもなく正常な信号をインジェクタへ送っていました。
ここまでを一旦まとめます
- 燃圧OK→34,000KPa
- 噴射信号OK→43g/1st
- DTC無し→システム不具合無し(断線、ショート無し)
- 圧縮OK→2時間前のブレーキ整備にてエンジンは問題なく始動、運転していた
パーツクリーナをインテークから吹いてクランキングすると初爆は起こりました。がすぐにエンジンストール。。
はやり「燃料不足」によってエンジン始動が出来ない状況であると考えられます。
燃圧はOKとなると噴射信号の異常? それとも燃料パイプ〜インジェクタノズルの物理的な詰まり? しかし整備した箇所をもう一度確認しても異物等はありません。
残るはいよいよECUの不具合か・・・
若しくはECUの支配下にあるインジェクタのドライバーユニットの不具合か・・・
三菱FUSOへレッカーして診断してもらう事となりました。

車検整備中にエンジン始動できなくなると言う整備工場としては一番情けない状態になってしまいました。。。
FUSOさんからの診断結果を待ちたいと思います。
2025年12月11日追記
三菱FUSOさんが下した結論
「1、2、4、5、6番インジェクターの詰まり」との判断でした。
詰まった原因は、オイルシールを交換した際高圧パイプを外した時に砂などの異物が入り込みインジェクターの詰まりを引き起こしたとの事。
現車がない上、設備の整ったプロ集団が下した結論ですからこれは納得をせざると得ません。
燃料が無い? との結論は同じだったので、自社で整備した箇所を認めたくない気持ちが先走りすぎていたと、今になって思います。
技術、物は嘘を付けませんから今回の失敗を教訓にしてお客様へ更に高品質な整備をお届けできるよう社を挙げて取り組んで参ります。
FUSOディーラー関係者の皆様、この度はありがとうございました。
またお客様へはお待たせさせてしまい申し訳ありません。 今回の失敗を活かして更なる高みを目指して精進いたします。
