
ウィッシュの不具合で入庫しました。
車種 | ウィッシュ |
エンジン型式 | ZGE20E |
DTCコード | P2647 |
症状 | エンジンが全く吹け上がらない |
部品番号 | 222A0-2750 バルブリフトモータ
90301-38010 ゴムパッキン |
交換費用 | 総額¥115000
(部品代95,000、技術料20,000) |
お客様からのヒアリング内容としては
エンジン警告灯が点灯して、アクセルを踏んでも全く速度が出なくなってしまった。体感は歩くスピード。 後ろが詰まってしまってとても困る。 何度かエンジンを付けたり消したりして一時的に直ったが、2回目の同じ事象が起こった時点でもう耐えられない。 修理してほしい。
とのご依頼でした。
早速DTCを呼び出した結果が↓です
この症状が出たら、コンティニュアスバリアブルバルブリフトコントロールモーターをアッセンブリー交換します。なんだか下を噛みそうな名前です・・
交換方法
↑ヘッドカバーを外すと、コントロールシャフトとリフトコントロールモータを繋ぐピンが見えるので、このピンを抜きます。 抜くと書くと簡単ですが、外すには道具と技術を要します。 簡単に外れませんのでDIYされる方は相当な覚悟を持った方が良いと思います。
↑ちょっとやそっとでは外れませんのでご覚悟を!笑
↑ピンさえ抜ければ、リフトモーターは横にずらすと簡単に外れます。
↑ゴムパッキンも新品交換必須の部品です。
この整備作業はとにかくピンを如何にして抜くか? です。 TOYOTAのサービスマニュアルを見ても「ピンを抜く」とかサラッと書いてあるだけですが、マジで簡単には抜けません。 抜く方法は超有料級の情報ですので、販売を希望される方は中央自動車商会までお電話下さいw
コンティニュアスバリアブルバルブリフトコントロールシステムの仕組み
端的に言うと「スロットルバルブを廃止して、吸入空気量をバルブのリフト量を変化させてコントロールする」仕組みです。
このシステムの主なメリットは2つ
- スロットルバルブが無く吸入抵抗を低減できる→出力アップ
- ポンピングロスの低減→燃費アップ
です。 この技術はTOYOTAが2007年に発表していますが、私が知る限りではF1のエンジンとしてBMWが一番最初に使い始めたと認識しています。(正しい情報をご存知の方いれば教えて下さい) 当時のF1エンジンはNA3.0LのV10、最高回転数は20,000を超えるか? と言われる時代でしたから、如何に高回転でパワーを稼ぐのか? が技術的な課題でした。
そんな中で生まれたアイディアがスロットルバルブを無くして、バルブのリフト量で出力をコントロールする事だったのです。 当時は「バルブトロニック」と言う言い方をしていました。
このモーターはTOYOTAの特許技術で、前後の推進力を出すモーターとしてはとてもコンパクトです。
通常の回転カムの他に、揺動カムがあります。 この揺動カムの位置が変化する事でレシオが変化し最終的にバルブリフトが変化する仕組みです。
↑動きとしては上図のようになります。 これを97段階にてコントロールしている(2007年時点)ので、スムーズなスロットルワークが実現するのですね。
今回の整備を通じて、すごく高い技術なんだと勉強になりました。