日野プロフィア(2015年式)キャブのチルトが上がらないとの事で入庫しました。
深夜にキャブ周辺から「ピーピーと音がするようになった」、「キャブチルトアップのポンプスイッチを押すと音が停止する」との事でチルトアップポンプS/Wを押しっぱなしにしたとの事でした。
確認するとチルトアップシリンダーが70mm程度アップした状態でストップしていて、伸び側、縮み側どちらへも動かない状態でした。
ハンドポンプでも試しましたが感触として重くならず、反力は強くなっていく事はありません。
取り敢えずポンプの予備があったので交換しましたが症状は変わらず。
次に油圧回路を確認します。
ポンプに接続されているホースを確認するとオイルはきちんと送られてきていました。 ポンプ側がNGとなるとセーフティーバルブが開きっぱなし、そもそも作動油が無い、ポンプ内部での油圧リークが考えられますが、ポンプを2個同時に確認して同じ症状がでる事は考えにくいので、次はシリンダーです。
そしてとある方法を用いて点検した結果、シリンダー(ピストン)がNGである事が分かりました。 しかし次なる問題が。。。
シリンダーを外そうにも、本来シリンダーは一番短い状態になっているはずですが、今回は70mmも伸びた状態で作動不良となっています。 つまりキャブを持ち上げようとテンションが掛かっている状態。
この持ち上げる力のテンションをフリーにするには、クレーンでキャブを釣るか、その状態を作り出さねばなりません。 試行錯誤の結果この方法を用いました↓
これでキャブを持ち上げる事で、チルトアップシリンダーに掛かっている自重をキャンセルします。 結果はバッチリ。
ビンッ!ビンッッッ!!💪💪 だぜぇ〜!? pic.twitter.com/kwD1B7SSJV
— 国家1級整備士の国際ライダーANDY (@ANDY_MOTO_ACE) July 19, 2025
ロック機構や、フェンダーなど取り外した部品をしっかりと組んで完成です。
今回はシリンダーの油圧動作原理の基礎をしっかりと考えれば、もう少し早く故障原因にたどり着ける案件でした。 作動油が出る、出ないがどのタイミングが適切であるべき姿なのか? この基本はサスペンションのダンパーと全く同じですね。
今回の件をしっかりと社内共有して、レベルアップを果たしたいと思います。